この記事では、札幌市の副都心として形成され、交通・行政・商業・医療・教育・文化が駅前に重層的に集積する「新札幌」の都市構造を取り上げます。全国的にも数少ない“多機能集約型・副都心モデル”として、都市政策や地域再生の事例研究にも価値のあるエリアです。(2025.12.03記)
人口12万人に対する都市機能すべてを駅前に集結した万能都市「新札幌」を解剖する
大きな都市でも「行政手続きは役所へ」、「学びや文化は離れた施設へ」、「買い物は別の商業エリアへ」と、生活に必要な拠点が散らばっていることは多いものです。
ところが北海道札幌市の副都心「新札幌」は、全国的に見ても珍しい“都市機能のフルセットが駅前に集まった街”です。
札幌市厚別区は、人口約12万人。この厚別区の行政・商業・交通が集まったエリアが「新札幌」と呼ばれるエリアです。
ここには、交通拠点として
・JR新札幌駅
・地下鉄新さっぽろ駅
・新札幌バスターミナル
があり、徒歩5分圏内に次のような施設が集結しています。
・区役所・保健センター・区民センター
・科学館・水族館・図書館
・体育館・温水プール
・大型ショッピングモールなどの商業施設
・居酒屋・カラオケなどの飲食街
・大型病院・各種専門医院
・大学・専門学校キャンパス
・屋外イベントステージ
・大型ホテル
これらがすべて駅直結または徒歩5分程度の圏内に収まり、住民からは「新札幌ですべてが揃う」「シンサツ(新札幌の略)最強!」という声が聞かれます。
この記事では、駅直結あるいは駅前に全ての都市機能が集結した万能都市ともいえる「新札幌」の都市構造を全国に向けてご紹介します。
計画的に開発され間もなく50年
「新札幌(新さっぽろ)」は、利便性の高い交通結節点に商業・行政・文化・医療・ビジネス・娯楽等の地域中心施設を計画的且つ集約的な配置するというコンセプトにもとづいて整備されました。
札幌市が、「厚別副都心開発基本計画」により新札幌駅周辺を「副都心」として位置づけたのが1972年(昭和47年)。
1977年(昭和52年)に「サンピアザショッピングセンター」が開業すると、1980年代には、体育館、科学館、水族館などが次々とオープンし、近隣には大型総合病院が移転してきました。
2016年からは、「新さっぽろ駅周辺まちづくり計画」( 2015年(平成27年)策定)基づき、近隣の市営住宅の建て替えと集約化によって発生した余剰地を活用し、新たな商業施設やホテル、さらには大学や医療機関を含む大規模な再開発がおこなわれました。
開発から40年以上経った「新札幌」は、いよいよ成熟の時を迎え、「副都心」の名にふさわしいエリアとなっていきました。
JR・地下鉄・バス 3つの公共交通機関の結節点
「新札幌(新さっぽろ)」は、JR・地下鉄・バスの3つの公共交通が集中する、札幌市東部の最大級の交通ハブです。
「JR新札幌駅」は道内でも有数の乗降客数を誇り、札幌駅に次ぐ“基幹駅”として多くの通勤・通学客が利用しています。
地下鉄東西線は「新さっぽろ駅」が始発・終着駅のため、朝のラッシュ時でも比較的座りやすく、市内中心部へ安定したアクセスが確保されています。
さらに、「新札幌バスターミナル」からは厚別区内はもちろん、江別方面、北広島方面、清田区方面など多方面へ路線が伸びており、地域の移動を力強く支えています。また、隣接する専用乗り場からは、エスコンフィールド北海道(北海道ボールパーク Fビレッジ)へのシャトルバスも発着しています。
これらの交通機関が駅前に集約されていることで、乗り換えがスムーズで、日常生活から通勤・通学、さらには観光まで、あらゆる移動に優れた利便性を発揮しています。
商業施設と行政・金融機関が同居する“ワンストップの街”
新札幌駅のそばには「札幌市厚別区役所」があり、買い物のついでに行政手続きを済ませられる利便性があります。また商業施設内の金融機関も充実。必要な手続きをワンストップで行うことができます。
【商業施設の出入口から徒歩5分圏内の施設】
・札幌市厚別区役所
・厚別保健センター
・厚別区民センター
・厚別区図書館
・厚別消防署
・新さっぽろ年金事務所
【商業施設内の金融機関】
・北海道銀行 新さっぽろ支店・ローンプラザ新さっぽろ
・北洋銀行厚別中央支店
・新札幌駅デュオ郵便局
駅直結の「青少年科学館」、「水族館」
「札幌市青少年科学館」は、JR駅や大型商業施設に隣接し、市内各地から子どもたちが訪れます。
さらに、都市型水族館としては先駆的な「サンピアザ水族館」は、子どもたちに向けた教育的な役割を担いながら、商業施設への集客効果をも同時に満たしています。
いずれも、子どもグループだけで放課後に訪れたり、買い物ついでに子どもの学習体験を補ったりといった使い方もでき、とても気軽に利用できます。
また、新札幌の商業施設内には、3000平方メートル前後の面積を有する日本最大級の子ども向け屋内遊園地「ファンタジーキッズリゾート新さっぽろ」があり、小さなお子様から中高生まで幅広い年代に対応しています。
先述の「厚別区図書館」と合わせて、商業エリアと学習機能・あそびの機能が連続している街。新札幌は、文化×生活”が融合した街なんです。
・札幌市青少年科学館
・サンピアザ水族館
・ファンタジーキッズリゾート新さっぽろ
大学や専門学校のキャンパスが駅前にある
「札幌学院大学 新札幌キャンパス」と「札幌看護医療専門学校」は、商業施設の出入口から徒歩で2~3分程度の距離。
札幌市厚別区は札幌市内でも比較的高齢化率が高いエリアですが、両校の開学は、札幌市内でも高齢化率の高い厚別区に、若年層を呼び込む力となりました。2000名以上の学生が在籍しており、地域と連携したイベント企画や、市民向け公開講座などが進んでいます。
両校の進出の背景には、全国的な学生数の減少の中で、学生の確保と教育水準の向上を図りたい学校運営上の課題がありました。
新札幌は、通いやすい交通環境であり、実習先の確保や地域連携により教育の質を高めることができることから新札幌にキャンパスを置くメリットは明確です。
このことは、都市機能集約化の成果ともいえ、このことで、副都心としての価値をさらに向上させています。
屋外ステージ・屋内イベントスペース
商業施設に隣接して、噴水や遊具などがある「科学館公園」、屋根付き屋外ステージを備えた「ふれあい広場あつべつ」のほか、屋内には、イベントスペース「光の広場」、屋内公園「BiViPARK」など市民がくつろいだり、イベントを開催したりできるスペースがいくつもあります。
2021年に大学・専門学校が開学して以降、屋外ステージ「ふれあい広場あつべつ」では、あたたかい季節になると、毎週のように音楽ステージやフリーマーケット、お祭りが開催されています。
学生たちが増えたことで、いっそう賑わうエリアとなっています。
古くからある「光の広場」では、物産展や子ども向けヒーローショーやラジオの公開収録など、家族でも馴染みやすイベントを中心ににぎわっています。
一方、屋内公園「BiViPark」は、デジタルビジョンによる天井や、飲食店に囲まれた独特の雰囲気から、ジャズやアコースティックライブが多く開催され、大人向けの雰囲気を醸しています。
このように、多様な世代が集う環境が新札幌にはあります。
・科学館公園
・ふれあい広場あつべつ
・光の広場
・BiViPARK
大型病院が徒歩圏に複数ある“安心感”
医療機関は、商業施設と空中回廊「アクティブリンク」で結ばれている。2016年、新札幌の商業ビルの一つ「Duo」内に、「デュオメディカルモール」がオープン。
2022年から2023年にかけては、新札幌の「D街区」と呼ばれる再開発エリアに商業施設と空中回廊で結ばれた大型病院やクリニックが多数移転開業しています。
いずれも、駅から雨に濡れずに通院することができ、様々な診療科の医療機関の移動負担が大きく軽減されています。
【新札幌の商業施設内および屋内直結の医療機関】
○デュオ・メディカルモール
・桂林耳鼻咽喉科・中耳サージクリニック
・新さっぽろファミリアクリニック
・新さっぽろ小児科
・新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック
・新札幌アン矯正歯科クリニック
・アイン薬局
以下は、デュオの別階およびサンピアザ内
・上杉皮膚科医院
・小林胃腸科内科クリニック
・サンピアザたけだ眼科
・サンピアザ歯科診療所
・新札幌駅歯科
・アークシティ新札幌デュオ眼科
○「D街区」の医療機関
・新札幌整形外科病院(整形外科・リハビリテーション科)
・交雄会 新さっぽろ病院(内科・消化器内科・人工透析内科ほか)
・新札幌心臓血管クリニック
・新さっぽろおおたに眼科
・D-スクエア新さっぽろ歯科
・さとこ皮膚科・美容クリニック
・さいわいデンタルクリニック
その他、新札幌駅から徒歩圏内には、大型の総合病院「JCHO札幌北辰病院」や、スポーツ専門外来のある「羊ケ丘病院」のほか、様々な医療機が多数立地しています。
札幌市厚別温水プール・厚別区体育館

画像出典/中厚別温水プール
新札幌の商業施設から徒歩3分の場所に「厚別区体育館」、徒歩10分圏内には、「厚別温水プール」があります。
民間のフィットネスジムだけでなく、このような公共の体育施設があることで、子どもたちの水泳や運動教室、サークル活動などの場として、アットホームな雰囲気が街に安心感をもたらしています。
スーパーマーケットが駅チカに4軒
「新札幌」は、札幌市中心部のような商業やビジネスに特化したエリアではありません。
ここは、人口12万人を擁する「厚別区」の生活拠点の中にある多機能エリアです。
駅直結の「イオン新さっぽろ店」や「コープさっぽろ新さっぽろ店」だけでなく、徒歩5分圏内に「ホクノースーパー新札幌店」、「卸売スーパー 新札幌店」もあります。
また、徒歩10分圏内には「小林農園やさい直売所」があり、これらは地元住民が日々利用する場所です。
・イオン新さっぽろ店
・コープさっぽろ新さっぽろ店
・ホクノースーパー新札幌店
・卸売スーパー 新札幌店
大きなホテルが3軒
新札幌には大きなホテルが3軒あります。ビジネス客や観光目的の宿泊のほか、地元住民がレストランを利用したり、お祝い事などに日常的に親しんでいます。
新札幌駅の改札を出て通路をわずか1分進むと「新さっぽろアークシティホテル」があります。ショッピングモールとは屋内で繋がっており、水族館や科学館もすぐそこに。階下のバスターミナルからは、「北海道開拓の村」や「開拓記念館」行きのバスが発着しており、ビジネスだけでなく観光目的でも利用価値の高いホテルです。
さらに、新札幌駅から屋内通路を3分ほど進むと「ホテル ラ・ジェント・ステイ新さっぽろ」があります。2023年開業の新しい施設で、1階のイタリアンレストランが人気。
新札幌駅から屋外に出て3分の距離には、「ホテルエミシア新札幌」があります。地上30階建ての高層ホテルで、展望レストランやバーなどのほか、チャペルや日帰りスパなども備えており、多機能に使えるホテルです。
・新さっぽろアークシティホテル
・ホテルエミシア札幌
・ラ・ジェント・ステイ新さっぽろ
大自然・緑がすぐそこに
「新札幌」エリアには、駅から徒歩10分で「野津幌川緑地」があります。野津幌川の河川敷地・堤防を利用して延々と続く道は、散歩やサイクリングなどに最適。
さらに、車で10分も走れば、道立自然公園野幌森林公園があります。ここは約2000haの面積があり、大都市近郊に残る平地原生林としては世界的にも貴重だと言われています。
野幌森林公園に隣接して立地する「北海道博物館」や野外博物館「北海道開拓の村」は、学習の場としてだけでなく、森に囲まれた癒しスポットとして、年間パスポートを活用した“日常使い”でも利用できます。
これだけ揃う街は全国でも本当に少ない
新札幌の特長は、マチの機能すべてが駅前に集まり、徒歩数分でアクセスできる都市構造こそが最大の魅力。
多くの都市では、行政は行政地区、商業は繁華街、病院や大学は郊外と分散しがちですが、新札幌は都市機能の“濃度”が異常に高い街と言えます。
新札幌エリアは、交通・商業・医療・教育・行政が駅前に集約され、北海道における都市づくりのひとつの到達点ともいえる姿を見せています。
計画都市として生まれ、新たな再開発を経て多様な人々が行き交う現在の姿は、人口減少時代における都市拠点の“成熟モデル”として、全国的にも価値のある事例だと感じています。
もし都市政策や地域活性化の研究、フィールドワーク、メディア企画の題材を探している方がいれば、ぜひ一度この街を歩いてみてください。新札幌には、都市と人の関係がどのように進化してきたのか――そのヒントが凝縮されています。
この街の取り組みや可能性を、多くの専門家や機関に取り上げていただけることを心から願っています。

画像出典/Google Earth
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